所長コラム「商標法違反で逮捕」
『聖火輸送機のニセ模型販売 商標法違反で39歳男を逮捕』
(FNNプライムオンライン 2021年5月28日:https://www.fnn.jp/articles/-/188831)
“現金を得る目的で、聖火を輸送した航空機の模型の偽物をネット上で販売していたとして、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games、略称: TOCOG)の商標権を侵害した疑いで容疑者を逮捕”、との記事です。
大会組織委員会は、聖火を運んだ航空機の模型を、関係者向けに200個余り、非売品として配布していたのですが、容疑者は、材質の異なる偽物を中国から仕入れ、ネットのフリマサイトなどで、合計3台をおよそ3万2,500円で販売した疑いがかけられています。
さて、この事件で問われている罪は、「商標権侵害罪(商標法第78条)です。
侵害の罪
商標法第七十八条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条 の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた 者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
ここで、条文には表れていませんが、商標権侵害罪は刑法に基づいていることから、「故意」が犯罪の構成要件となります。
「故意」とは、「犯罪になることを分かっていて、あえてやる」ということです。これを「確定的故意」といいますが、他にも、「商標権侵害になることを知らなかったけれども、偽物であっても構わないと考えて侵害行為を行う場合、「未必の故意」として、「故意の要件」を満たすことになります。
この事件の容疑者は、「警視庁の調べに対し、「大会のエンブレムが商標登録されていいるのは知らなかった」などと話し、容疑を否認している。」とのことですが、「確定的故意」は認定されなくても、「未必の故意」について、検察側が立証していくことになると思います。