所長コラム「投稿動画の著作権違反、ユーチューブの責任問わず」
投稿動画の著作権違反、ユーチューブの責任問わず 欧州司法裁
(2021年6月23日 :日経ビジネス)
(https://business.nikkei.com/atcl/global/19/london/01338/)
欧州連合(EU)の最高裁判所にあたる欧州司法裁判所は6月22日、米グーグル傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」をはじめとするオンライン・プラットフォームのユーザーが投稿するコンテンツにおける著作権侵害を巡る裁判で、プラットフォーム側の責任は問わないとの判決を下した。
(コメント)
「本裁判は、ドイツの音楽プロデューサーが2008年に自身の音源利用を巡ってユーチューブを訴えたことに端を発しており、欧州司法裁判所は、著作権で保護されたコンテンツがプラットフォーム上で違法に利用できる状態であることを知りながら速やかな削除やアクセスを遮断を怠った場合や、適切な予防技術を導入しない場合には、責任を問われる可能性があると付け加えた。」とのことです。
日本でも「プロバイダ責任制限法」において、同趣旨の規定が設けられています。
「プロバイダ責任制限法」は、正式には「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」と呼ばれます。
この法律は、ウェブページや電子掲示板などで行われる情報の流通によって権利侵害があった場合において、プロバイダ、サーバの管理者・運営者、掲示板管理者などの損害賠償責任の制限と、発信者情報の開示を請求する権利を定めたものです。
対応する条文は、第3条第1項第1号及び第2号です。
第三条 特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一 当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二 当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
ユーチューブでは、「Content ID」といった著作権侵害についての自動判定システムが導入されており、著作権者のポリシーに応じた策が講じられていることから、著作権侵害に関する責任が問われにくい状況になっています。