【特許】特許法第11条:代理権の不消滅

特許法第11条は、代理人に委任された代理権が一定の事由によって消滅しないことを定めた規定です。この規定は、代理人が依頼者の意思を尊重しつつ、安定的に手続きを進めることができるようにするためのものです。

特許法第11条の条文

(代理権の不消滅)
第十一条 手続をする者の委任による代理人の代理権は、本人の死亡若しくは本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の信託に関する任務の終了又は法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅によつては、消滅しない。

条文の趣旨と解説

この条文の目的は、代理人が手続を安定的に遂行できるようにすることです。依頼者に万一の事態が発生しても、代理人の代理権が直ちに消滅することがないようにすることで、依頼者の利益を保護します。

条文の背景

特許法第11条では、以下のような場合に代理権が消滅しないことを明示しています:

  • 本人の死亡:依頼者が死亡した場合でも、代理人が継続して手続きを進めることが可能です。
  • 法人の合併:法人の合併による消滅があっても、代理権は維持されます。
  • 信託に関する任務の終了:信託業務が終了しても、代理権が消滅しません。
  • 法定代理人の死亡若しくはその代理権の変更若しくは消滅:法定代理人の死亡やその代理権に変更や消滅が生じた場合も、手続をする者の委任による代理人の代理権は影響を受けません。

これにより、手続の中断や混乱を防ぎ、依頼者の利益を最大限に守る仕組みが整備されています。

実務上のポイント

  1. 安定的な手続遂行
    代理人は、依頼者に万が一の事態が発生しても手続きを継続できます。そのため、特許庁との手続においても安定性が保たれます。
  2. 委任状の適切な管理
    依頼者からの委任状が有効であることが重要です。委任内容や期間を明確にし、適宜更新することが推奨されます。

特許法第11条の意義

この条文は、代理人が依頼者の利益を守りつつ安定した手続きを行うための重要な規定です。依頼者の死亡や法人の変更といった事態が発生しても、代理人が手続を続行できることで、特許制度の信頼性と円滑な運用が確保されます。


参考情報

詳しい解説は、以下のURLをご覧ください:
特許庁ホームページ:特許法逐条解説

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