【知財全般】優先権証明書のオンライン提出(令和5年法律改正)

2024年1月1日に施行されている産業財産権に関する法改正では、特許法や商標法、意匠法、実用新案法において、優先権証明書のオンライン提出を可能にする規定が整備されました。この改正は、デジタル化の促進を目指し、従来の手続きに比べて大幅な効率化を実現するものです。

優先権制度と従来の手続きの課題

優先権制度は、パリ条約に基づき、最初の出願から一定期間内に他国で出願した場合、最初の出願日を基準に新規性や進歩性を判断する権利を認める制度です。しかし、日本国特許庁における従来の手続きでは、優先権証明書の書面提出が必要であり、出願人にとって負担が大きいものでした。特に、DAS(デジタルアクセスサービス)を利用できない場合、書面による原本提出が求められる点がデジタル化の妨げとなっていました。

法改正のポイント

改正後は以下の点が新たに導入されます:

  1. 電子データの活用
    DASやPDF形式で提供された電子データをオンラインで提出可能になりました。これにより、出願人が書面を郵送する手間を省けます。
  2. 柔軟な提出手段
    書面による提出も引き続き許容される一方、第一国政府が提供した電子データをPDFに変換したものの提出も認められます。
  3. 規定の明確化
    特許法第43条において、電子的に提供されたデータも「優先権証明書類等」として規定し、それを基にした手続きが可能となります。また、関連する法規定の調整も行われ、商標法や意匠法などにおける適用が明確化されました。

実務への影響

この改正は、特許出願人や弁理士にとって大きな負担軽減をもたらすと期待されています。特に、オンライン手続きが進むことで、国際的な特許出願の際の効率化が進むでしょう。一方で、電子データの取り扱いに関するルールや注意点も増えるため、正確な理解が必要です。

施行日と注意点

本改正は2024年1月1日に施行されています。施行前における経過措置は特に設けられておりません。出願人や関係者は施行日以降に新たな手続きをすることができます。


参考資料

詳細については以下のリンクをご覧ください。
産業財産権に関する法改正の解説 – 日本国特許庁

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