【特許】ヨーロッパ特許制度の維持年金とは?出願段階から始まる年金制度と最新情報
ヨーロッパ特許制度における維持年金(Renewal Fee)は、日本の制度とは異なり、出願日から3年を経過した後には、特許が権利化されていない段階であっても、出願を維持するために納付する必要があります。この維持年金は、出願日から起算して3年目およびその後の各年ごとにEPO(ヨーロッパ特許庁)に納付する義務が生じ、特許査定が出る年まで毎年支払わなければなりません。納付期限は、出願日に対応する日を含む月の最終日までとされています。
維持年金の計算基準について
維持年金の計算基準は、優先日ではなく、欧州特許出願日(European filing date)に基づきます。つまり、優先日は影響せず、維持年金の納付は出願日から数えて3年目にあたる年から始まります。この点で、日本の制度と異なり、計算基準が一貫して「出願日」とされるため、出願人にとって計画的な年金支払いが重要となります。
また、PCT出願を行い、その後EPOに移行する場合には、維持年金の計算基準がPCTの出願日から3年とされるため注意が必要です。通常、PCT出願がEPOに移行する際には31か月近くが経過しているため、移行から半年後に最初の3年目の維持年金の納付期限が訪れるケースが一般的です。このように、PCT出願を経てEPOへ移行する場合、維持年金の納付タイミングが特有のスケジュールとなるため、あらかじめ計画的な費用管理が求められます。
特許付与後の維持年金
特許付与後は、EPOへの納付ではなく、指定した各国の特許庁に対して特許維持年金を支払う必要があります。この段階では、各国ごとに特許を維持するか放棄するかを選択することが可能です。特許が付与されてからは一つの欧州特許出願ではなく、各国で独立した特許として管理され、国ごとの事業戦略に応じた維持管理が求められます。
最新情報:維持年金の値上げについて
ヨーロッパ特許庁(EPO)は2024年4月1日より手続料金の改定を実施し、維持年金も値上げされました。特に、3年目から5年目の維持年金の値上げ幅が大きく、例えば3年目の維持年金は530ユーロから690ユーロに、4年目は660ユーロから845ユーロに引き上げられました。この改定により、特許維持にかかるコストが増加しているため、特許管理者には予算管理や戦略的な特許維持の判断がさらに重要となっています。最新の料金や変更点については、EPO公式サイトで確認が可能です。
公式情報の参照先
維持年金に関する詳細な情報や最新の料金については、以下の公式サイトをご参照ください:
- ヨーロッパ特許庁(EPO)公式サイト:維持年金に関する情報
こちらでは、ヨーロッパ特許の年金納付方法や期限、計算基準に関する詳細な情報が提供されています。
- 日本特許庁(JPO)公式サイト:権利維持のための手続(年金の支払い)
JPOでは、日本での特許権維持に関する手続が説明されていますが、ヨーロッパ特許制度との比較にも役立つ情報が含まれています。
これらの公式情報を参考に、ヨーロッパ特許の維持年金制度について正確な理解を深め、適切な手続きを行うことをおすすめします。