【特許】特許法第17条の5:訂正に係る明細書等の補正

1. 条文の概要

特許法第17条の5は、特許権者や特許無効審判の被請求人、訂正審判の請求人が、訂正した明細書、特許請求の範囲、または図面の補正を行うことができる期間を定めています。この条文により、特許権者や無効審判の当事者が、特定の期間内に限り、訂正を適切に行えるようになっています。

2. 条文の内容

(訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正)

第十七条の五

  1. 特許権者は、第百二十条の五第一項又は第六項の規定により指定された期間内に限り、同条第二項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
  2. 特許無効審判の被請求人は、第百三十四条第一項若しくは第二項、第百三十四条の二第五項、第百三十四条の三、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、第百三十四条の二第一項の訂正の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。
  3. 訂正審判の請求人は、第百五十六条第一項の規定による通知がある前(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項の規定による通知がある前)に限り、訂正審判の請求書に添付した訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができる。

3. 重要事項

(1) 条文の趣旨

本条は、訂正に係る明細書等の補正が可能な時期を定めたものです。平成6年の改正前は旧特許法第17条に規定されていましたが、条文整理により新たに第17条の5として定められました。

(2) 改正の経緯

  • 平成5年改正: 無効審判の手続において訂正の補正が認められる期間を明確化。
  • 平成15年改正: 特許異議申立制度の廃止に伴い、一部条項を改正。
  • 平成23年改正: 訂正請求手続に関する所要の改正。
  • 平成26年改正: 特許異議申立制度の復活により、新たに第1項を設け、以前の第1項・第2項をそれぞれ第2項・第3項に移動。

(3) 実務上のポイント

  • 特許権者による訂正: 特許異議申立における訂正については、取消理由通知に対する意見書提出期間内または訂正拒絶理由通知に対する応答期間内に限り補正が可能。
  • 無効審判の被請求人による訂正: 訂正が認められる期間(答弁書提出期間)を過ぎると、例外的な場合を除き補正不可。
  • 訂正審判の請求人による訂正: 審理終結通知がなされるまで補正可能。

訂正の補正が無効審判の審理を遅延させることを防ぐため、無効審判における補正期間は制限されています。一方で、訂正審判では審理終結まで補正が認められるなど、実務上の運用も異なります。

4. 参考情報

詳しくは以下のリンクをご参照ください。 特許法逐条解説(特許庁)

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