【特許】特許法第17条の3:要約書の補正

特許法第17条の3(要約書の補正)

第十七条の三
特許出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、願書に添付した要約書について補正をすることができる。

特許法施行規則 第十一条の二の二(要約書の補正の期間)

第十一条の二の二
特許法第十七条の三の経済産業省令で定める期間は、特許出願の日(同法第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。以下「優先日」という。)から一年四月(特許出願(同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願を除く。)の願書に添付した要約書を補正する場合にあつては出願公開の請求があつた後の期間を除き、国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求のあつた同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願であつて国際公開がされているものの願書に添付された要約書を補正する場合にあつては出願審査の請求があつた後の期間を除く。)とする。


条文の趣旨と解説

要約書の目的

要約書は、特許情報へのアクセスを容易にするために提出が義務付けられており、出願公開(特許法第64条)と同時に公開されます。要約書の内容は、権利関係には影響を及ぼしません。補正の時期には一定の制限が設けられています。

旧制度の補正期間

平成2年の改正以前は、要約書の補正は出願日から1年3月以内とされていました(旧特許法第17条1項ただし書)。

平成6年改正による変更

平成6年の改正では、明細書や図面の補正の時期制限は廃止されましたが、要約書の目的は変わらなかったため、補正可能期間は引き続き出願日から1年3月以内に限定されました。また、要約書の補正については、特許法第17条の2とは別に、本条(特許法第17条の3)で新たに規定されました。

平成11年改正による変更

平成11年の改正では、出願日から1年3月以前に出願公開の請求が行われた場合、出願公開の準備が始まることから、その後の要約書の補正は認められないこととなりました(特許法第64条の2)。

優先日を基準とする期間の算定

特許法では、「優先日」を基準として期間を算定する方式を採用しています。要約書の補正可能期間の起算日(本条)や出願公開の基準日(特許法第64条1項)にも、この算定方式が適用されています。

平成18年改正による変更

平成18年の改正により、外国語書面出願の翻訳文提出期間についても「優先日」を基準とする期間算定方式が採用されることになりました。これにより、本条の基準日の定義規定は、特許法第36条の2第2項の本文にも適用されることになりました。

平成26年改正による変更

平成26年の改正では、優先権主張の補正期間(特許法第17条の4)や優先権主張期間(特許法第41条4項、第43条1項)が「経済産業省令で定める期間(一年四月)」とされました。これに伴い、要約書の補正期間も「一年三月」から「経済産業省令で定める期間」に変更されました。

なお、この改正により、「特許出願の日」および「パリ条約」の略称規定は、本条から特許法第36条の2第2項へと移動しました。


参考情報

特許法第17条の3の詳細については、以下のリンクをご参照ください。
特許法逐条解説

お問い合わせはこちら

24時間受け付けております。お気軽にお問い合わせください。