【特許】特許法第16条:手続をする能力がない場合の追認
特許法第16条は、未成年者や成年被後見人など、手続をする能力がない者が行った特許手続について、後から法定代理人や本人が追認することで手続が有効になる規定です。この追認は、追認の時点から効力が生じるのではなく、手続が行われた時に遡って有効となる点が重要です。
特許法第16条の条文
(手続をする能力がない場合の追認)
第十六条 未成年者(独立して法律行為をすることができる者を除く。)又は成年被後見人がした手続は、法定代理人(本人が手続をする能力を取得したときは、本人)が追認することができる。
2 代理権がない者がした手続は、手続をする能力がある本人又は法定代理人が追認することができる。
3 被保佐人が保佐人の同意を得ないでした手続は、被保佐人が保佐人の同意を得て追認することができる。
4 後見監督人がある場合において法定代理人がその同意を得ないでした手続は、後見監督人の同意を得た法定代理人又は手続をする能力を取得した本人が追認することができる。
条文の趣旨と解説
特許法第16条は、手続能力がない者が行った手続の効力を追認によって有効にする規定です。この規定は民事訴訟法第34条第2項と同様に、追認によって手続が行われた時に遡って有効となる点が特徴です。
- 未成年者や成年被後見人の手続
手続時に未成年者や成年被後見人であっても、法定代理人の追認により手続が有効となります。 - 代理権がない者の手続
正式な代理権を持たない者が行った手続は、本人または法定代理人が追認することで効力を持つことになります。 - 被保佐人の手続
被保佐人が保佐人の同意なく行った手続も、保佐人の同意を得ることで追認が可能です。 - 後見監督人の同意がない手続
後見監督人が必要な場合に法定代理人が同意を得ずに行った手続も、後から同意を得ることで追認が可能です。
実務上のポイント
- 追認の効力
追認は、手続時に遡って有効になる点に注意が必要です。 - 適切な追認の手続
手続の効力を確保するためには、法定代理人や手続能力を回復した本人が速やかに追認を行い、特許庁へ意思表示する必要があります。 - 関連規定との関係
本条は、追認が行われた時点からではなく、手続の時点に遡って効力が発生することを明確にしています。
条文の意義
この追認制度は、手続能力がないことによる不利益を防ぎ、当事者の権利保護と手続の適正性を確保するために設けられています。また、追認が手続の時点に遡って効力を生じることで、手続の一貫性と法的安定性が担保されます。
参考情報
特許法第16条の詳細については、以下のリンクをご参照ください。
特許法逐条解説