【特許】特許法第14条:複数当事者の相互代表
特許法第14条は、複数の当事者が共同で特許手続きを行う場合における相互代表について規定しています。この条文は、共同手続きにおける代表権の取り扱いや例外事項を明確化し、不利益行為に対する適切な対応を確保しています。
特許法第14条の条文
(複数当事者の相互代表)
第十四条 二人以上が共同して手続をしたときは、特許出願の変更、放棄及び取下げ、特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ、請求、申請又は申立ての取下げ、第四十一条第一項の優先権の主張及びその取下げ、出願公開の請求並びに拒絶査定不服審判の請求以外の手続については、各人が全員を代表するものとする。ただし、代表者を定めて特許庁に届け出たときは、この限りでない。
条文の趣旨と解説
特許法第14条では、複数の当事者が共同で手続きを行う場合、原則として各人が全員を代表するものとされています。この相互代表の規定は、迅速かつ効率的な手続き進行を可能にするものですが、不利益行為とみなされる重要な手続きについては例外となります。
不利益行為とは、以下のように依頼者や共同当事者に重大な影響を及ぼす行為を指します:
- 特許出願の変更、放棄、取下げ
- 特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ
- 請求、申請又は申立ての取下げ
- 優先権の主張及びその取下げ
- 出願公開の請求
- 拒絶査定不服審判の請求
これらの手続きについては、全員の合意が必要であり、相互代表の対象外とされています。これにより、不利益行為に関する慎重な意思決定が可能となります。
また、不利益行為以外の手続きについては、特許庁への届け出によって代表者を指定することが可能です。この場合には相互代表の原則が適用されなくなります。
実務上のポイント
- 不利益行為の注意
不利益行為に該当する手続きでは、共同当事者全員の意思確認が求められるため、特に注意が必要です。 - 代表者の指定
不利益行為以外の手続きを効率化するために、代表者を指定して特許庁に届け出ることが推奨されます。 - 適切な連携
相互代表の原則が適用される手続きでは、各当事者が他の共同者を適切に代表していることを意識しながら進める必要があります。
特許法第14条の意義
特許法第14条は、不利益行為に対する慎重な取り扱いを確保すると同時に、共同手続きにおける効率性を両立させる重要な規定です。この条文により、関係者間の責任分担が明確化され、特許手続の適正性が確保されます。
参考情報
詳しい解説は、以下のURLをご覧ください:
特許庁ホームページ:特許法逐条解説