【特許】特許法第12条:代理人の個別代理
特許法第12条は、複数の代理人が任命された場合に、それぞれの代理人が個別に特許庁に対して代理行為を行えることを定めた規定です。この規定は、代理人間の連携に縛られることなく、迅速かつ効率的な手続きを可能にするためのものです。
特許法第12条の条文
(代理人の個別代理)
第十二条 手続をする者の代理人が二人以上あるときは、特許庁に対しては、各人が本人を代理する。
条文の趣旨と解説
特許法第12条の目的は、複数の代理人が任命された場合に、それぞれの代理人が独立して行動できることを保証し、手続の円滑な進行を確保することです。代理人間の調整が必要となる場合でも、個別の代理行為が認められることで、迅速な対応が可能となります。
民事訴訟法との関係
本条は、民事訴訟法第56条と同様に、強行規定と解されています。つまり、代理人の個別代理の権利は、依頼者と代理人の間の合意内容によらず、特許庁における手続き上必ず適用されるべきものとされています。このように、特許法と民事訴訟法は、代理人の役割と権限を保障する点で共通していますが、特許法の場合は、より迅速な行政手続きを目的として特化した規定となっています。
特許庁への実務的な影響
この条文の適用により、特許庁は、どの代理人からの申請や手続きであっても正当なものとして受理します。これにより、依頼者や代理人は、業務上の柔軟性を持ちながら手続きを進めることができます。
実務上のポイント
- 代理人間の情報共有
複数の代理人がいる場合、それぞれが独自に手続きを行う可能性があるため、適切な情報共有が求められます。 - 手続きの効率化
特許庁に対しては、どの代理人が行った手続きであっても対応が可能となるため、手続き全体の効率化が期待されます。
特許法第12条の意義
特許法第12条は、代理人制度の柔軟性を確保し、特許庁での手続きの効率的な運用を支える重要な規定です。この規定により、依頼者の利益を守りながら、代理人がその業務をスムーズに遂行できる環境が整備されています。また、民事訴訟法との共通性を持ちつつも、特許制度特有の行政手続に特化した点で意義が深いものとなっています。
参考情報
詳しい解説は、以下のURLをご覧ください:
特許庁ホームページ:特許法逐条解説