【特許】特許法第6条:法人でない社団等の手続をする能力

特許法第6条は、法人でない社団や財団がどのような条件で特許に関する手続きを行えるかを規定しています。この規定は、特許に関する重要な手続を行う主体の範囲を明確化するもので、特許制度の公平性や透明性を確保する役割を果たしています。

特許法第6条の条文

(法人でない社団等の手続をする能力)

第六条 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。

 一 出願審査の請求をすること。

 二 特許異議の申立てをすること。

 三 特許無効審判又は延長登録無効審判を請求すること。

 四 第百七十一条第一項の規定により特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求すること。

2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。

条文の解説

法人でない社団等の定義と要件

特許法第6条が対象とするのは、法人格を有しない社団や財団です。これらの団体は、以下の条件を満たす場合に限り、特許に関する手続を行うことができます。

  1. 代表者または管理人が定められていること
    • これにより、手続の責任者が明確になります。
  2. 団体の名義で手続を行うこと
    • 手続は団体名で行うことが求められています。特許法第6条では「その名において」と規定されており、個人名義ではなく、団体としての手続が前提とされています。

対象となる手続

特許法第6条第1項では、法人でない社団や財団が行える手続として以下が挙げられています:

  1. 出願審査請求
    • 特許出願が審査の対象となるよう求める手続。
  2. 特許異議の申立て
    • 既に特許が付与された発明に対して異議を申し立てる手続。
  3. 特許無効審判および延長登録無効審判の請求
    • 特許の無効を求める手続、または特許権の存続期間延長登録の無効を求める手続。
  4. 再審の請求
    • 特許無効審判や延長登録無効審判の確定審決に対する再審を求める手続。

第2項では、これらの団体が他者から再審を請求される立場になり得ることも明記されています。

特許出願について

法人格を持たない団体は、権利能力を有しないため、特許出願人として特許権を取得することはできません。 特許出願そのものは、権利能力を有する発明者個人または法人が行うものであり、法人格を持たない団体が出願人になることは認められません。団体が関与する場合には、以下の方法が一般的です:

  1. 代表者または構成員の名義で出願
    • 発明の実質的な所有者である代表者や主要な構成員の名義で特許出願を行います。
  2. 出願権や特許権の共有
    • 関与した構成員全員で特許出願を行い、特許権を共有する形にします。

団体の手続能力の意義

法人格を持たない団体にも一定の手続能力を与えることで、幅広い主体が特許制度を活用できるようになります。この規定により、法人化していない研究グループや地域団体でも特定の手続きをすることが可能となります。

参考情報

特許法第6条の詳細な解説については、以下のリンクをご覧ください:

特許庁逐条解説 – 特許法

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