【特許】特許法第4条:期間の延長

特許法第4条は、遠隔地や交通が不便な地域に居住する者に配慮し、特定の手続き期間を延長することができる規定です。この規定により、地理的な制約や交通事情による不公平を軽減し、特許制度の公平性が確保されます。本記事では、特許法第4条の条文内容、延長の適用条件、延長対象外の手続きについて解説します。


特許法第4条の条文

第四条(期間の延長等)
特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。


特許法第4条の解説

1. 期間延長の対象

特許庁長官は、次のような手続き期間において延長を認めることができます:

  1. 実用新案登録に基づく特許出願の制限期間(第46条の2第1項第3号)
    実用新案技術評価請求に基づく通知を受け取った日から30日以内の期間。
  2. 特許料の納付期間(第108条第1項)
    特許査定または審決の謄本の送達日から30日以内の特許料納付期間。
  3. 審判請求期間(第121条第1項)
    拒絶査定不服審判請求は、査定の謄本の送達日から3か月以内。
  4. 再審請求期間(第173条第1項)
    再審請求は、請求人が取消決定または審決が確定した後、再審の理由を知った日から30日以内。

2. 適用条件

特許法第4条による期間延長は、以下の条件を満たす場合に認められます:

  • 遠隔地や交通が不便な地域に居住していること
    地理的な制約が手続きの遅延に影響する場合に考慮されます。
  • 延長を求める手続きが、対象手続きに該当すること
    上記の手続きに該当する場合にのみ適用されます。

3. 延長の対象外となる手続き

特許法第4条自体には延長対象外の手続きは規定されていませんが、以下の手続きは、他の条文や制度の運用上、延長の対象外となります:

  1. 補正をすることができる時または期間(第17条の2)
    審判請求時や要約書の補正期間は延長の対象外です。
  2. 出願審査の請求をすることができる期間(第48条の3)
    出願日から3年以内の審査請求期間は延長できません。
  3. 権利の存続期間
    特許権や実用新案権の存続期間そのものは延長対象に含まれません。

実務上のポイント

  1. 延長申請の手続き
    延長を希望する場合は、特許庁に対して正式に請求を行う必要があります。具体的な申請方法や書類については、特許庁の規定やガイドラインを確認してください。
  2. スケジュール管理
    延長可能な手続きについても、通常の期間内で手続きを完了することを目指すのが望ましいです。
  3. 延長対象外の手続きに注意
    延長対象外の手続きについても把握しておくことが、スムーズな手続き進行に欠かせません。

特許法第4条の意義

特許法第4条は、期間延長を通じて公平性を確保する規定です。この条文により、特許制度の利用者が地理的な制約や交通の不便さを理由に不利益を被ることを防ぐことができます。一方で、延長対象外とされる手続きがあるため、正確な期限管理が求められます。


まとめ

特許法第4条は、地理的・交通的な制約に配慮し、特定の手続き期間を延長できる仕組みを提供しています。一方、延長が適用されない手続きについては、特許法第4条そのものではなく、他の条文や制度の運用から理解する必要があります。この規定を正確に把握し、適切に活用することで、特許関連手続きの円滑な進行が可能となります。


参考情報:
特許法逐条解説(特許庁)

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