【知財全般】オンライン送達制度の見直し(令和5年法律改正)

令和5年の特例法改正により、特許庁が提供するオンライン送達制度が見直されました。この改正は、従来の制度の課題を解消し、特許手続きの効率化と安定性を高めることを目的としています。また、令和4年の民事訴訟法改正が特例法改正に影響を与えており、送達制度全体の進化が図られています。

特例法改正の背景と主な内容

従来、特許庁からのオンライン送達では、相手方が通知を閲覧または記録しない限り効力が発生しませんでした。そのため、通知が確認されない場合には郵送に切り替える必要があり、手続きの遅延や管理コストの増加が問題視されていました。

今回の特例法改正では、以下のような改善が行われました。

  1. 送達効力発生時期の明確化
    特例法第5条が改正され、特定通知等(通知や命令)が以下のいずれか早い時点で効力を発生するものとされました。

    • 相手方が通知を自身のファイルに記録した時。
    • 特許庁が通知を記録可能な状態にし、そこから10日が経過した時。

    この改正により、相手方が通知を閲覧しない場合でも一定期間が経過すれば効力が発生するため、送達の安定性が向上しました。

  2. 期間の不算入規定の導入
    災害や特許庁のシステム障害など、不可抗力で相手方が通知を受け取れなかった場合、その期間を効力発生までの10日に含めない規定が追加されました。
  3. 代理人への特例
    手続代理人(業として代理を行う者)に対しては、代理人がオンライン送達の届出をしていなくても電子的に通知を行えるようになりました。

民事訴訟法改正との関連

令和4年の民事訴訟法改正では、電子情報処理組織を利用した送達の効力発生時期が明確化されました。特例法の改正はこの制度を参考にしており、特定通知等の送達効力発生時期を安定化させる内容となっています。

施行時期と経過措置

今回の改正は令和6年4月1日(月曜日)に施行されています。また、改正法附則に基づき、施行日前にオンライン送達の届出を行うことが可能であり、施行日以降は新制度にスムーズに移行できる経過措置が設けられています。

改正の意義

これらの改正により、特許庁の手続きにおけるオンライン利用が一層進むと期待されます。送達が安定的に成立することで、出願人や代理人にとっても手続きの迅速化が実現します。また、郵送の必要性が減少するため、書類管理にかかるコストの削減にも寄与します。

今後の展望

特例法改正は、特許庁手続きのデジタル化を促進する重要な一歩です。オンライン送達制度の進化により、利用者にとって利便性がさらに向上することが期待されています。


参考情報

今回の改正についての詳細は、以下の特許庁の公式サイトをご覧ください。
令和5年法律改正の概要

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