【特許】特許法第2条:定義

特許法第2条は、特許制度の基盤となる「発明」の定義やその関連事項を規定しています。この条文は、特許法の適用範囲を明確化し、法律の解釈を統一するために非常に重要な役割を果たしています。本記事では、この条文に基づいて「発明」の定義やその意義についてわかりやすく解説します。

発明の定義(第2条第1項)

特許法第2条第1項では、「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しています。この定義には以下の重要なポイントが含まれています。

  1. 自然法則を利用
    発明は、自然法則に基づくものでなければなりません。例えば、数学的な公式や人間の精神活動そのものは、自然法則を利用していないため発明に該当しません。
  2. 技術的思想の創作
    単なるアイデアではなく、具体的な技術的思想が必要です。この技術的思想は、実際に物理的または技術的に実現可能であることが求められます。
  3. 高度のもの
    「高度のもの」とは、単なる技術的な工夫を超えた一定の水準以上の技術的創作を指します。ただし、これは特許要件としての「進歩性」を示すものではありません。この点は特許要件とは別に、発明としての本質的な定義に含まれるものであることに注意が必要です。

特許発明の定義(第2条第2項)

第2項では、「特許発明」を「特許を受けている発明」と定義しています。これは特許権による保護が認められた発明を指し、特許出願された段階の発明とは区別されます。

発明の「実施」の定義(第2条第3項)

第3項では、「発明の実施」が具体的に定義されています。この中で、「物の発明」「方法の発明」「物を生産する方法の発明」に分け、それぞれの実施行為を詳しく規定しています。たとえば、「物の発明」では、その物を生産・使用・譲渡する行為が含まれます。また、平成14年の法改正では、プログラムをインターネットを通じて提供する行為も「実施」に含めるよう明確化されました。

プログラム等の概念(第2条第4項)

第4項では、「プログラム等」の定義が追加されています。これは、電子計算機に対する指令やその準ずる情報を指し、特許の対象範囲をより広げる形で規定されています。

特許法第2条の意義

特許法第2条は、特許制度の適用範囲を明確にし、特許の対象となる発明を具体化する役割を果たしています。この条文があることで、技術の進歩や経済活動の発展を促進し、法解釈における争点を減少させることが可能となっています。

まとめ

特許法第2条は、特許制度の基礎を成す重要な規定です。発明の定義を明確化することで、特許権の保護範囲を限定しつつ、技術の進歩を促進する役割を担っています。特許を目指す企業や発明者にとって、この条文を正確に理解することは特許取得の第一歩と言えるでしょう。


参考情報:
特許法逐条解説(特許庁)

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