【商標】e-Filingによる商標の国際登録出願の手数料納付方法の見直し(令和5年法律改正)
令和5年に実施された商標法改正では、「e-Filingによる商標の国際登録出願の手数料納付方法」が見直されました。この改正は、国際登録出願の手続きを簡素化し、出願人の利便性を向上させることを目的としています。本記事では、改正の背景、内容、重要な条文について分かりやすく解説します。
1. 改正の背景
従来のマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願の手続きでは、以下のような手数料納付が求められていました。
- 基本手数料および個別手数料:スイスフランで国際事務局(WIPO)に納付。
- 本国官庁手数料:日本国特許庁に日本円で納付。
このような仕組みでは、e-Filingシステムを活用しても、日本特許庁への別途手数料納付が必要であり、出願手続きが煩雑であるという課題がありました。特に、納付書の郵送や特許庁への訪問が必要となる場合があり、電子出願の利便性が十分に活かされていない現状が問題視されていました。
2. 改正の概要
今回の改正では、以下の内容が盛り込まれました。
- e-Filingシステム利用時の一括納付
e-Filingシステムを利用して出願する場合、基本手数料・個別手数料に加えて、本国官庁手数料も国際事務局にスイスフランで一括納付できるようになりました。これにより、日本特許庁への別途納付手続きが不要になります。 - 関連法令の改正
商標法第68条の2第5項が新設され、e-Filingを利用した場合に限り、本国官庁手数料を国際事務局に直接納付できることが規定されました。 - 施行期日
改正法は令和6年1月1日より施行されております。なお、経過措置は設けられていません。
3. 改正のポイント
- 手続きの簡素化
e-Filingを利用することで、手続きがオンライン上で完結し、従来必要だった日本特許庁への別途納付手続きが省略されます。 - 出願者の負担軽減
書類の郵送や特許庁への訪問が不要になり、時間的・経済的負担が軽減されます。 - 電子出願の普及促進
電子出願の利便性向上により、e-Filingシステムの利用がさらに拡大することが期待されています。
4. 主な条文
以下に、今回の改正に関連する商標法の主要な条文を示します。
- 商標法第68条の2第5項
e-Filingによる国際登録出願を行う者は、実費を勘案して政令で定める額をスイスフランで国際事務局に納付することが求められます。 - 商標法第76条第1項第3号
e-Filingを利用した出願者には、本条文は適用されず、e-Filing専用の規定が適用されます。
5. 今後の展望
今回の改正により、e-Filingを利用した商標の国際登録出願手続きがより効率化され、出願者の利便性が向上します。これに伴い、電子出願の普及が進み、商標出願における国際的な手続きのハードルが下がることが期待されています。
参考情報
本改正についての詳細は、以下のURLをご覧ください。
令和5年法律改正の解説