【商標】商標におけるコンセント制度の導入(令和5年法律改正)
令和5年、日本の商標法が改正され、商標制度に新たに「コンセント制度」が導入されました。この制度は、先行登録商標の権利者の同意を条件に、類似または同一商標の併存登録を可能にするものです。本記事では、法改正の背景、制度の内容、そして承諾書に関する具体的な情報を解説します。
1. コンセント制度とは
「コンセント制度」とは、先行登録商標と類似する商標について、先行登録商標の権利者の同意を得ることで、両商標を併存して登録することを可能にする仕組みです。この制度は、以下の2つの要件を満たす場合に適用されます。
- 先行登録商標権者の同意を得ていること。
- 混同の恐れがないことを特許庁が確認できること。
これにより、新規事業者がブランドを柔軟に選択できるようになり、商標の利用可能性が拡大します。
2. 制度導入の背景
従来の商標法では、商標法第4条第1項第11号に基づき、他人の登録商標に類似する商標は登録できませんでした。また、同一または類似の商標が複数出願された場合、先願主義に基づいて最も早く出願されたものだけが登録可能でした(商標法第8条)。
しかし、この制度には以下の課題がありました:
- 使用可能な商標が減少し、新規事業者にとって障壁となる。
- 他国ではコンセント制度が導入されているため、日本企業が国際競争において不利になる。
このような背景を受け、商標法改正によりコンセント制度が導入されました。
3. 商標法改正の概要
以下は令和5年の商標法改正の主なポイントです。
商標法第4条第4項の新設
商標法第4条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標の権利者の同意を得ており、混同の恐れがない場合は登録が可能となります。
商標法第8条の改正
同一または類似する商標出願が競合する場合、以下の対応が可能になりました:
- 出願者間で相互承諾が得られた場合、全員が登録可能。
- 承諾が得られない場合は、くじ引きで決定された後順位の出願人も、先順位の出願人の同意を得られれば登録可能。
混同防止措置
商標権の移転による混同を防ぐため、混同防止表示請求(商標法第24条の4)や不正使用取消審判(商標法第52条の2)の規定が整備されました。
4. コンセント制度における承諾書の具体的要件と取扱い
承諾書に必要な記載事項
承諾書には、以下の事項が記載されている必要があります:
- 先行商標権者の特定
- 権利者の氏名または名称、住所。
- 先行商標の登録番号。
- 承諾の内容
- 後行商標の出願番号や指定商品・指定役務。
- 後行商標の登録を承諾する明確な表明。
混同を生じるおそれがないことの証明
出願者は、混同の恐れがないことを証明するために、以下の資料を提出することが求められます:
- 両商標の使用態様や市場での実情を示す資料。
- 専用使用権者や通常使用権者との関係で混同が生じないことを示す資料。
- 将来にわたる混同リスクの低さを証明する企業計画や市場データ。
提出様式と例
承諾書には定型のフォーマットはありませんが、特許庁が提供する記載例が参考になります:
承諾書
令和X年X月X日
住所:XXX
氏名または名称:XXX
私は、登録第XXX号の権利者として、「YYY」(出願人)が以下の商標登録出願について商標登録を受けることを承諾します。
記
1. 商標登録出願番号:XXX
2. 指定商品または指定役務:XXX
特許庁は提出された承諾書の内容を厳格に審査し、出所混同の恐れがない場合に限り、後行商標の登録を認めます。
5. 施行期日と経過措置
改正法は、令和6年4月1日に施行されています。施行日以降の出願に新制度が適用されますが、それ以前の出願には従来の規定が適用されます。