【意匠】意匠登録出願のポイント
意匠登録を目指すには、特許庁に対して正確な意匠登録願を提出することが重要です。本記事では、初心者の方にもわかりやすいよう、意匠登録願に記載すべき基本事項を解説します。特に重要な【意匠に係る物品】と【意匠の説明】について詳しく説明し、特許庁が提供するガイドラインを参考に具体例を交えながら解説します。
1. 【意匠に係る物品】の欄の役割と記載方法
【意匠に係る物品】とは?
意匠登録を受ける対象がどのような物品、建築物、または画像であるかを記載する欄です。意匠法第6条第1項第3号および意匠法施行規則第7条に基づき、物品の用途や機能を明確にする必要があります。
- 具体例:
- 「椅子」、「電子ピアノ」、「ホテルのロビーの内装」など。
- 一般的な名称を使用し、曖昧な表現を避ける。
- 注意点:
- 広すぎる名称は不適切(例: 「家具」ではなく「椅子」)。
- 複数の物品を並記しない(例: 「トランペット、クラリネット、縦笛」は不可)。
- 意匠審査基準(第Ⅱ部第2章)に記載された例を参考に具体的に記載。
内装に関する特例:
「ホテルの内装」と記載するだけでは不十分です。例えば、「ホテルのロビーの内装」と用途を明確に記載する必要があります。
2. 【意匠に係る物品の説明】の記載方法
【意匠に係る物品】欄だけでは用途や機能が明確でない場合、この欄を使用して補足説明を記載します。例えば、新規な物品や多機能物品の場合、使用目的や状態をわかりやすく説明します。
- 関連規定:
- 様式2 備考39: 新規な物品や用途が不明確な場合の補足記載方法を規定。
- 記載例:
- 「スポーツジムのトレーニングルームの内装」について、「カフェとコインランドリーが併設された施設のトレーニングルーム」という補足を記載。
- 注意点:
- 登録商標や図表の使用は禁止されています。
- 記載内容は簡潔にすること。
3. 【意匠の説明】の記載方法
意匠を特定する上で重要な事項(材質、大きさ、形状、色彩など)を記載します。特に、図面に反映されない情報を補足するのに適しています。
- 関連規定:
- 意匠法第6条第3項: 材質や大きさの記載義務。
- 様式2 備考42~43: 色彩や透明性、形状の変化などを説明。
- 具体例:
- 「背面図は正面図と同一である」など簡潔な記載が推奨されます。
- 「この物品は高さ30cm、アルミニウム製です」といった材質や大きさの補足も必要に応じて記載。
- 注意点:
- 図面と矛盾しないこと(例: 図面に模様がないのに「木目模様」と記載しない)。
4. 図面の添付と記載の重要性
意匠登録願には、意匠の形状、模様、色彩を正確に示した図面を添付する必要があります。図面が不十分だと、審査官が正確に意匠を理解できない可能性があります。
- 関連規定:
- 意匠法第5条第1項: 図面添付の義務。
- 様式6 備考7~14: 図面作成の基準。
記載例:
使用状態を示す図(参考図)を用意することで、意匠の用途や状態がさらに明確になります。
5. 関連する条文・規則・様式
- 意匠法:
- 第5条: 図面等の提出義務。
- 第6条: 願書記載事項の規定。
- 第7条: 複数意匠の出願。
- 意匠法施行規則:
- 第7条: 【意匠に係る物品】の記載方法。
- 第8条: 複数意匠の記載方法。
- 様式2(意匠登録願):
- 備考39~43: 【意匠に係る物品】および【意匠の説明】に関する補足。
6. まとめ
意匠登録願を作成する際には、特許庁が提供しているガイドラインを参考に、法令に従った正確な記載を心がけましょう。特に、【意匠に係る物品】や【意匠の説明】は審査の重要なポイントとなるため、曖昧さを避け、具体的かつ明確に記載することが求められます。
参考リンク:
意匠登録出願における図面等の記載の手引
意匠登録出願をスムーズに進めるためにも、この記事で紹介したポイントを参考に、正確な願書作成を目指してください。