【商標】マドプロによる国際登録出願の願書作成と注意点について
マドプロ(マドリッド協定議定書)を利用した国際商標登録出願は、日本国内だけでなく海外市場でのブランド保護を目指す企業にとって重要な手続きです。しかし、出願手続きは複雑であり、特に願書の作成には細心の注意が求められます。本記事では、マドプロによる国際登録出願の願書【MM2】の作成方法や注意点について、分かりやすく解説します。
1. 願書作成の基本
マドプロによる出願の願書【MM2】は、以下の手順で作成します。
- 公式様式の使用
願書は特許庁またはWIPOの公式ウェブサイトからダウンロードできる【MM2】様式を使用します。記載内容は公式フォーマットに沿って正確に記載する必要があります。 - 記載内容の準備
願書には、出願人情報、基礎出願または基礎登録の詳細、指定締約国、商標の具体的な表示(図形や色彩の有無)などを記載します。例えば、商標の図柄を記載する場合、基礎出願と同じ形式を維持する必要があります。 - 使用する言語
願書は、英語、フランス語、またはスペイン語で記載します。通常、日本国を本国官庁とする場合は英語が選択されます。
2. 主要な注意点
願書を作成する際には、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 基礎出願または基礎登録との一致
願書に記載する商標および指定商品(役務)は、基礎出願または基礎登録の内容と一致していなければなりません。例えば、基礎出願で商標が白黒の場合、国際出願でも白黒の図柄を使用します。 - Eメールアドレスの記載
出願人または代理人のEメールアドレスを必ず記載してください。このアドレスは国際事務局からの連絡手段として使用されます。 - 署名不要の例外
2020年12月28日以降、日本国内では願書への署名や押印が不要になっていますが、他国の指定締約国では異なる場合があります。 - 優先権の主張
他国の出願を基礎とする場合、優先権を主張するための【MM17】を添付します。特に欧州連合を指定する場合、関連情報の記載が不可欠です。 - 米国を指定する場合の追加要件
米国を指定締約国とする際は、【MM18】(標章を使用する意思の宣言書)を提出する必要があります。この書類の提出漏れは、米国での保護を得る際の障害となるため、注意が必要です。
3. 手数料の支払い
願書提出時には手数料の支払いが必要です。
- 基本手数料
商標が白黒の場合は653スイスフラン、カラーの場合は903スイスフランが課されます。 - 付加手数料および個別手数料
指定する国の数や商品分類の区分に応じて手数料が追加されます。手数料計算は、WIPOの手数料計算ツールを活用すると便利です。- WIPOの手数料計算ツール: Fee Calculator
4. 提出方法
願書の提出は以下の方法で行います。
- 電子申請
インターネット出願ソフトを利用して提出します。この方法では、手数料納付書の作成が不要になります。 - 書面提出
書面で提出する場合は、特許印紙またはその他の方法で手数料を納付し、手数料納付書を添付します。 - 提出先
願書と必要書類を日本特許庁に提出します。
5. まとめ
マドプロによる国際登録出願は、多国間での商標保護を可能にする効率的な制度ですが、手続きには細かなルールが多く含まれています。特に、願書【MM2】の記載内容は正確さが求められ、指定締約国ごとの要件を十分に理解した上で進める必要があります。
出願をスムーズに進めるためには、特許事務所や専門家のサポートを受けることをおすすめします。これにより、記載漏れや誤記を防ぎ、商標の国際的な保護を確実に実現できます。
参考資料
より詳細な手続きについては、以下の公式ガイドラインをご参照ください。
本記事を参考に、適切なマドプロ出願を行い、ブランドのグローバル展開を成功させましょう。