所長コラム「ユニクロが上告受理申し立て!?」
「 セルフレジ巡る特許でファストリ敗訴 知財高裁』
(日本経済新聞:2021年5月20日 14:53 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE203P50Q1A520C2000000/)
ファーストリテイリングが運営する「ユニクロ」のセルフレジを巡り、IT(情報技術)企業の「アスタリスク」(大阪市)が持つ商品識別関連特許の有効性が争われた訴訟で、知的財産高裁(森義之裁判長)は5月20日、特許は有効と判断し、ファストリ側の主張を退ける判決を言い渡した。
(コメント)
特許権者であるアスタリスク社が、ファーストリテイリング社に対して、特許権を行使したところ(https://diamond.jp/articles/-/217080)、ファーストリテイリング社が、特許無効審判を請求して、特許の有効性が争われていた事件です。
特許庁は、無効審判の審理の結果、特許は有効であるとして、請求棄却審決をし、ファーストリテイリング社が、知的財産高等裁判所に「審決取消訴訟」を提起しました。
そして、2021年5月20日に知財高裁で「請求棄却」という判決言渡しがあり、2021年6月2日、ファーストリテイリング社が、最高裁判所に上告受理の申し立てをした、という状況です。
さて、「上告受理申立て」は,原判決について判例違反その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むことを理由とする場合の不服申立ての方法ですが、実際は、最高裁判所が、通常の民事裁判において、「原判決の事実認定が間違っているという主張」を取り上げる可能性はほぼないと言われています。
また、最高裁判所での審理は法律審であり、事実審は既に知財高裁で終結しているため、特許が有効であるとの知財高裁の事実認定を覆すことはないといえます。
ファーストリテイリング社が上告受理の申し立てで、どんな主張をしているのか、注目されます。