新型コロナウイルス流行に対する各国の状況(3月31日時点)
福地国際特許事務所と提携する各国の特許事務所(現地代理人)から新型コロナウイルスの流行の業務状況や救済措置についての報告が続々と寄せられています。
各国(日本含む)の報告を時系列にまとめました。
1.中国
(1)C代理人 2月3日
①状況
・社内で感染者はなし
・在宅勤務中なので通常通りやり取り可能だがいつもより少し返信など遅れるかも
②救済措置
・1/24~2/2期限の案件は全て2/3へ延長
※コロナを原因とする権利回復措置の申請は可能。
(2)S代理人 2月14日
①状況
・社内で感染者はなし
・在宅勤務中(2/24~操業開始予定)なので通常通りやり取り可能だがいつもより少し返信など遅れるかも
(3)S代理人 3月18日
①状況
・殆どの社員が在宅勤務中。通常通りやり取り可能
②備考
★4/4~4/6 清明節(休み)
2.ドイツ
(1)H代理人 3月17日
①状況
・かなりの数の口頭審理が中止となっている
・3/16~3/27のappeal hearingsが延期へ
・会社自体は通常通り営業中
②救済措置
・3/15以降期限の案件(PCT移行期限日を含む)は4/17へと延長(欧州特許庁)
・4/17までに設定された口頭審理はさらなる通知があるまで延期
※ただしビデオカンファレンスで行う場合は除く
③備考
・スペインにおいて、SPTOによる業務処理が3/13以降今も中断されており、それがいつまで続くかわからない状況。
★詳細(スペイン語サイト):https://www.oepm.es/export/sites/oepm/comun/documentos_relacionados/Noticias/2020/2020_03_16_ResolucionPlazosProcedimientosAdministrativos.pdf
3.韓国
(1)K代理人 3月19日
①状況
・韓国特許庁が、補正案レビュー面談や技術説明会等の審査官/審判官と直接対面する面談を制限すると発表。電話面談などはOK
②救済措置
(a)自己隔離(感染判定、入院を含む)の事由に基づき審判当事者の期間延長、期日変更および手続き中止申請を積極的に受け入れる。
※期間延長などの申込書提出時に保健所などから確認を受けた証憑書類を添付して提出しなければならない。
(b)審判請求が無効処分された場合、補正命令を受けた者の申請によって無効処分を取り消す。
※期間経過救済申込書を期間が経過した事由に対する証明書類とともに提出しなければならない。
(c)拒絶決定不服審判請求期間を守ることが出来なかった場合、手続きの今後の補完を認める。
※期間経過救済申込書を期間が経過した事由に対する証明書類とともに提出しなければならない。
(2)K代理人 3月24日(2回目)
①状況
・3/23付で韓国特許庁が審査関連機関未遵守の場合の救済措置を発表
・在宅勤務および交替勤務の体制をとっており、会議も電話やテレビで行っている
②救済措置
(a)各種審査手続きの補正命令に対する指定期間:期間経過救済申請書及び期間を遵守できなかったことを証憑する書類を提出。
(b)出願審査・再審査請求期間:期間経過救済申請書及び期間を遵守できなかったことを証憑する書類を提出。
(c)特許(登録)料の追納・補填期間:納付書及び期間を遵守できなかったことを証憑する書類を提出。
(d)特許協力条約で定めた期間:期間経過事由に対する証憑書類及び最大限迅速な手続きを取ったことに対する証憑書類を提出。
(e)意見書提出期間の延長または、審査保留要求の積極的な受け入れ:期間延長申請書(4ヶ月超過時、証憑書類添付)または、審査保留要求に対する意見書を提出。
(3)K代理人 3月27日(3回目)
①状況
・3/25付で韓国特許庁が具体的な運営指針を発表
②救済措置
・法定期間、指定期間について、救済措置あり。
・コロナを理由とした優先審査制度あり。
4.インド
(1)S代理人 3月20日
①状況
・大学や技術研究所などの施設がコロナ対策のため稼働していない
・現在ペーパーレスで業務を行っているが、特許は電子出願のため特に支障なく通常通り業務の進行が可能
②救済措置
・4/15以前に予定されていた聴聞(hearings)はビデオ会議へと変更されうる。出願人がビデオ会議を望まない場合は4/16以降へと日程を改めて設定される。
・コロナの流行が収束後一カ月以内に担当者がOA応答やその他手続き等の期限延長を申し立てればPatents Actsの下で容認される(Rule 6(6))。
<意匠>3/17付発表: 3/18~4/3に予定されていた聴聞は4/16~4/28へ変更
<商標>3/16付発表: 3/17~4/15に予定されていた聴聞は中止(新たな振替日は後日発表)、それ以降に予定されていた聴聞は日程変更なし
(2)D代理人 3月20日
①状況
・特に影響受けておらず通常通りやり取り可能
(3)W代理人 3月24日
①状況
・コロナ対策のため3/27のみ休み。3/30より通常通り営業 ★3/25祝日休み
(4)S代理人 3月25日(2回目)
①状況
・ロックダウンにより在宅勤務中だが通常通りやり取り可能
・会社の建物が閉まっているため、Invoiceや登録証等の紙の書面はコロナ収束後に発送する
・Hon’ble Apex裁判所は、特定の法律に定められた制限に関係なく、3/15付で、それ以降に新たな発表があるまで延長され、すべての裁判所および当局が拘束力を持つ旨を定めた。したがって、さらなる命令が最高裁判所によって可決されるまで全ての期限は保留とされる。期限が4/15以前に効力を持つ可能性は低いが、現地代理人は通常通り営業しているので、もし日本のクライアント(我々)が営業できない状況にある場合、現地代理人は対応を遅らせればよいだけとのこと。庁が再び開いた後は期限を変更することは難しい
(5)S代理人 3月26日(3回目)
①状況
・インド政府の発表より21日間のロックダウンとなったため、これ以前(~4/14)期限の案件は全て4/15へと延長されることとなった
・現地代理人は在宅勤務対応で通常通りやり取り可能であり、庁の電子出願システムも使えているので電子出願等は可能
②救済措置
・3/25~4/14期限の案件は4/15へと延長(庁が4/15に予定通り開庁した場合)。
(6)D代理人 3月26日(2回目)
①状況
・インド政府の発表により4/14までロックダウンとなり、インド特許庁も21日間(~4/14)閉庁。
・3/25~4/14の間に予定されていたすべての聴聞が中止。振替日は未定
②救済措置
・3/25~4/14期限の案件は4/15へと延長(庁が4/15に予定通り開庁した場合)。
5.メキシコ
(1)U代理人 3月21日
①状況
・在宅勤務等を導入し通常通りやり取り可能
・できる限り書面でのやり取りではなくメール等電子的なやり取りをしてほしい。
(2)U代理人 3月25日(2回目)
①状況
・メキシコ特許・商標庁が3/24~4/19期限の全案件を保留としたが、施設自体は人員を減らして開庁している
・現地代理人も通常通り営業中
(3)U代理人 3月28日(3回目)
①状況
・メキシコ特許・商標庁が4/19まで閉庁となったが、電子出願やオンラインでの送金等は引き続き可能
・現地代理人は通常通り営業中
6.米国
(1)B代理人 3月22日
①状況
・3/17より在宅勤務中。通常通りやり取り可能
(2)B代理人 3月22日
①状況
・3/17より在宅勤務中。通常通りやり取り可能
7.シンガポール
(1)D代理人 3月23日
①状況
・インドネシア知的財産局が3/23~3/31の間閉館するが、新規出願および実態審査請求等の電子出願には支障をきたさないため、全ての電子出願の期限は変更されない。
②救済措置
・電子出願以外の処理の期限は、次回開館日である4/1へと自動で更新される。
(2)D代理人 3月27日(2回目)
①状況
・半数の社員が在宅勤務中だが通常通りやり取り可能
8.日本
(1)福地国際特許事務所 3月31日
①状況
・時差出勤、在宅勤務の実施
・ほぼ通常通り営業中
②救済措置
現時点で、救済措置の発表はなし。
「https://www.jpo.go.jp/news/koho/info/covid19_shutsugan.html」
特許庁は、電子出願を含む各手続については通常どおり受け付けている。