【商標】マドリッド協定議定書(マドプロ)による商標の国際登録とは?
国際ビジネスの拡大に伴い、他国での商標保護が重要になっています。そこで便利なのが、「マドリッド協定議定書(通称:マドプロ)」と「マドリッド協定」に基づく商標の国際登録制度です。この制度を利用することで、複数の国での商標保護が効率的に行えるようになります。今回は、この国際登録制度の仕組みや利用の流れについて、初心者にもわかりやすく解説します。
マドリッド協定議定書の概要
マドリッド協定議定書は、1989年に採択された条約で、世界知的所有権機関(WIPO)が管理しています。この制度を利用することで、日本国内で登録された商標や出願中の商標について、1つの出願手続きで複数の国に商標保護を申請することができます。
国際登録のメリット
- 複数国への一括出願
従来、各国ごとに商標出願を行う場合、各国の制度に合わせた個別の手続きが必要でした。しかし、マドリッド協定議定書を利用すれば、1つの国際出願で複数の国に同時に商標を保護することが可能になります。これにより、手続きの効率化と費用削減が期待できます。 - 更新手続きの一元化
国際登録後の更新も、1つの手続きで行うことができ、管理が容易になります。 - WIPOが管理
出願や更新はWIPOを通じて行われるため、各国での個別の対応が最小限に抑えられます。
利用方法と手順
マドプロ制度を利用して国際登録を行うには、まず日本国内で基礎となる商標登録出願(または既存の登録)が必要です。その後、以下の手順で進めます。
- 国内の商標登録を基礎とした国際出願
日本の特許庁(JPO)を通じて、基礎となる商標の国際出願を行います。この際、出願国ごとに指定して保護を希望する国を選択します。 - WIPOでの審査と各国への通知
出願内容はWIPOで審査され、指定された各国に通知されます。各国はそれぞれの基準に基づいて審査を行い、登録の可否を判断します。 - 各国での商標権の取得
各国での審査が完了すると、認められた国で商標権が発生し、一定期間にわたって保護されます。国際登録の更新も可能で、更新もJPO経由で行うことができます。
注意点
- 本国登録が必要であること
マドプロ制度を利用するには、基礎となる国内の商標が必要であるため、日本での商標登録が大前提です。 - 各国での審査は独立に行われること
各国での審査基準や結果は、それぞれ異なる場合があるため、すべての国で必ずしも登録が認められるわけではありません。
まとめ
マドリッド協定議定書(およびマドリッド協定)による商標の国際登録制度は、世界展開を目指す企業にとって非常に有効な手段です。複数の国で一括して商標保護を受けられるため、手続きが簡略化され、費用面でも大きなメリットがあります。ぜひこの制度を活用して、海外でのブランド保護を強化しましょう。
【参考】特許庁公式ウェブサイト
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/seido/madopro_beginner.html
【参考PDF】マドリッド協定議定書に関するパンフレット(特許庁)
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota-info/document/panhu/panhu18.pdf