経営者のための知財戦略(26)「良い製品と認めてもらうには?」
経営者のための知財戦略(26)
「良い製品と認めてもらうには?」
皆さんは良いものに出会い、それを誰かに伝えたいとき、どのようにするでしょうか?プライベートな場面では、「とにかくこれは凄いんだよ」と感情を込めるだけで効果的かもしれませんが、ビジネスの世界ではそれは通用しません。数値が確実に高いと示せる客観的なモノサシが無いと、いくら高性能でも取引先に自社製品を採用してもらえません。
「新市場創造型標準化制度について(経済産業省)」には、JIS化の活用事例の類型Bとして、自社製品の性能が取引先に理解されない場合が挙げられています。このような場合には、自社製品がユーザーの求める性能を保有していることを評価可能にすることが有効であり、さらには性能評価方法の標準化までできれば効果的です。製品性能を認知させることができれば、販路拡大につながります。
参照:「新市場創造型標準化制度について(経済産業省)」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/katsuyo/shinshijo/index.html
上記サイトには、一例として株式会社田中電気研究所の例が紹介されています。同社は、火力発電所や清掃工場から排出されるダストの濃度を自動測定する機器を開発しましたが、本製品の品質を証明する基準がありませんでした。そこで客観的な評価を得るために、自動測定器の性能評価方法のJIS化に取り組みました。そして、規格を用いた説明が可能になり、取引先への説得力が増した結果、売り上げは2倍に増加しました。
現場レベルで明らかに性能が良いことが分かるとしても製品が取引先に採用されるか否かは別です。特に、大手企業は保証を求めますので、自社製品をどのように評価したらその良さが伝わるのかを見極め、その方法を確立しておくことが重要です。上記の例のように評価方法を規格化するところまでできれば言うことはありません。まずは標準化を見据えた基本方針を考え、大学や公的機関の支援も仰ぎ評価方法を確立することになります。その際には自社技術および標準化をよく知る特許事務所の活用もご検討ください(白川洋一)