経営者のための知財戦略(25)「大手企業に採用される製品」

経営者のための知財戦略(25)
「大手企業に採用される製品」
優れた独自技術であっても、大手企業や公的機関との取引に自社製品が採用されるとは限りません。いくら現場の担当者がその製品を高く評価していても、権限を持つ方々がGOサインを出さない限り動いてもらえません。そんなときに役に立つお墨付きの一つにJIS規格認証があります。

JIS規格を応用した成功例としては、株式会社ワイピーシステムの自動車用緊急脱出支援用具が有名です。自動車用緊急脱出支援用具は、例えば事故や水害などで自動車に閉じ込められた時に、乗員がシートベルトを切り、窓ガラスを割って脱出するための道具です。

「新市場創造型標準化制度について(経済産業省)」によれば、株式会社ワイピーシステムの自動車用緊急脱出支援用具のJIS化の例は、4つの類型A~Dのうちの類型Aに該当します。類型Aは、市場に粗悪品がある場合にそれを排除するような線引きをする標準化です。JIS D5716は、シートベルトが切れず、窓ガラスも壊せない粗悪品を市場から排除するために、自動車用緊急脱出支援用具の性能、外観,構造,形状及び材料等を規定しています。

参照:「新市場創造型標準化制度について(経済産業省)」

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/katsuyo/shinshijo/index.html

 

株式会社ワイピーシステムは自ら提案したJIS規格で認証を取得しました。その結果、製品が大手自動車メーカーに採用されて、標準化の後に売り上げが4倍になったことが紹介されています。類型のいずれかに該当すれば、標準化による恩恵を受けられる可能性が高まります。標準化知財戦略の一環として、自社製品のケースに標準化の類型があてはまるか考えてみてはいかがでしょうか(白川洋一)。

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