経営者のための知財戦略(15)「特許かノウハウ秘匿か?」

経営者のための知財戦略(15)
「特許かノウハウ秘匿か?」
特許出願の打合せ現場では、ある技術の特徴についてこのまま特許出願すべきか、ノウハウとして秘匿すべきかを相談されることがあります。特許出願してしまうと一年半後には発明が公開されてしまいますので、一部の特徴についてはノウハウとして秘匿した方が競合他社への優位性を維持できることがあります。
例えば、製品の形状に特徴があり製品が顧客に提供されたときに特徴が知れ渡ってしまう場合には、いずれ公知になるのだからその特徴は特許化した方がいいということになります。しかし、製造条件のパラメータなどは、通常、工場内で製造されてしまえば外部からは見えませんので、ノウハウとして秘匿するのが有効です。特に、パラメータに複数の選択肢があり、最適なパラメータを選ぶために長年の試行錯誤が必要であればノウハウ秘匿が適しているといえます。
「ノウハウ秘匿と特許出願の選択基準およびノウハウ管理法(高橋政治著、経済産業調査会)」には、いずれを選択するかの複数の基準が挙げられています。いずれを選択するかについては明確なフローチャートや公式があるわけではなく、製品・サービスの特性、事業の構造、競合の存在、自社のポジション、事業の段階などいろいろな要素を考慮し、複数の選択基準も参照しながら決めるのが理想的です。

中小企業庁「中小企業白書2009」(2009 年)P103より抜粋

実際には適切な運用ができている企業はどの程度でしょうか?中小企業白書2009のアンケート調査によると、ノウハウ秘匿と特許出願の双方の基準を定め従っている企業は、大企業で12.7%、中小企業で4.6%です。「どうしたらいいのか分からない」、「方法は分かるが負担」という声が多々あるのではと思います。ぜひノウハウ秘匿と特許出願の選別には、第三者、あるいは専門家の視点として弁理士の意見を入れてください。事業のパートナーとして特許事務所を活用することをお勧めします(白川洋一)。

お問い合わせはこちら

24時間受け付けております。お気軽にお問い合わせください。