経営者のための知財戦略(10)「特許と無関係な部品購入」

経営者のための知財戦略(10)
「特許と無関係な部品購入」
用途発明の特許を交渉材料にして、中間製品を購入してもらうときには念のため注意すべきことがあります。それは、特許に必須でない中間製品まで購入してもらってよいかということです。特許を開放するなら、それに見合った条件をつけるのは当然です。しかし、特許の力を借りてむやみに購入先を制限してしまうとトラブルの種になりかねません。
公正取引委員会が公表している「独占禁止法に関する相談事例集」には、購入先を義務づける契約の妥当性を取り上げた事例があります。
住宅メーカーA社が、自ら保有する工法に関する特許を工務店にライセンスする際に、推奨メーカー製の部材の使用を義務付けることは、独占禁止法上問題となるか?というものです。ただし、A社の特許権を侵害しない部材を他のメーカーがもっと安く供給できるという条件下です。

「独占禁止法に関する相談事例集(平成16年度)」の公表について
(11 工法の特許に係る部品等の購入先の制限より引用

 推奨メーカー製の部材が、当該工法の効用を保証するためのものであれば、このような購入先の義務付けにも妥当性がありそうです。しかし、何らかの競争制限の目的で行っているとすれば、限度を超えているように見えます。
公正取引委員会は、「工法による住宅の販売価格を維持するなど,競争制限を目的としてこのような制限が行われる場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある。」という回答を掲載しています。ライセンシーとの契約時には過度な制限になってないかを念のためご注意ください。
(白川洋一)。

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