経営者のための知財戦略(5)「特許と資金調達」

経営者のための知財戦略(5)
「特許と資金調達」

ベンチャービジネスなどでは、事業を大きく展開する前にまず特許出願をする場合があります。特許は、「その技術の魅力や期待」、「推定される市場価値」などから投資家や金融機関などを説得する有効な材料としても活用できます。
前回紹介した「企業の強みを生かす知的財産制度活用ガイドブック(内閣府 沖縄総合事務局)」には、創業期の課題である資金調達に特許を活用した事例が紹介されています。その事例では、新たに開発した不発弾の磁気探査用機器で特許を取得したことを契機に、中小企業が銀行から1億円の融資を受けています。
平成25年度特許庁事業「中小企業の知的財産活動に関する基本調査報告書」によれば、知的財産権が資金調達を容易にすると回答した企業の75.5%が「特許権」を資金調達の評価対象として挙げており、他の権利と比べ最も高い割合であったことが示されています。

独自技術は市場価値を生み出す強みになりやすいので、この結果は当然なのかもしれません。だからといって、単に特許を取得すれば評価されるものでないのは言うまでもありません。今後収益を生むビジネスモデルの要に特許が位置付けられてこそ高い評価が受けられます。出願前に事業活動と連動する特許をどのようにして取得するか十分に検討しておくことが重要です(白川洋一)。

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