大きな被害をもたらす技術流出!その対策は?②

2017.04.14
(1)情報漏えい対策の進め方
秘匿された技術情報は、営業秘密の一種です。経産省の提供する「秘密情報の保護ハンドブック」には、4つのステップ+αからなる情報漏えい対策の進め方が紹介されています。具体的には、ステップ1:保有する情報の把握・評価及び秘密情報の決定、ステップ2:秘密情報の分類、ステップ3:秘密情報の分類に応じた対策の選択、ステップ4:ルール化があり、対策を実行するための社内体制の構築も含まれます。

2)重要な「情報の把握・評価」
情報の仕分けができていなければ、対策しようがありませんので、特に最初の「保有する情報の把握・評価」は重要です。何気なく使っている情報が売上げに大きく貢献していることもありますので、あらためて確認することが必要です。また、例えばノウハウであれば、人に伝えられる形で残っていないこともありますので、洗い出しをしてまず記録に残すと良いでしょう。技術情報であれば、収益にどの程度貢献するか、他社から模倣容易でないか等の基準で評価することができます。また、ノウハウとして長期間秘匿すべきなのか、特許出願して数年後には公開されてもよいものなのかの評価も必要になります。情報を評価し、秘密情報を決定できたら、仮に情報が漏れたときにどの程度の損失が発生するかに応じて、ランク付けして分類します。

(3)対策についての切り口
 秘密情報の分類ができたら、分類に応じた対策を選択します。対策については、目的に応じた5つの切り口があり、これを使えば漏れなくダブりなく対策を考えることができます(※5)。それぞれ物理的・技術的な防御の観点で2つの切り口、心理的な抑止の観点で2つの切り口、信頼関係を深める観点で1つの切り口があります。対策を選択する際には、業務の効率が低下しないように現場の従業員が適切に情報にアクセスできるようにし、バランスをとることも重要です。

対策の切り口(①~⑤、※5より引用)

それぞれの切り口について漏えい者ごとにどのような対策をするかを情報の重要度ごとにまとめて資料として残しておき、定期的に見直すと効果的です。

情報の分類と対策(※5より引用)

 

(4)フレームワーク活用の勧め

対策が決まったら、ルール化し、情報漏えい対策を実行するための社内体制を構築します。これはケースバイケースですが、自社向けに具体策を決めて社内規定に盛り込むということが考えられます。上記のような基本的なフレームワークは、客観的な視点で技術情報の管理を見直すには役立ちます。重要な秘密情報を認識するだけでもその後の対応に違いが出てくると考えられます。ぜひ活用してはいかがでしょうか?

 ※5:秘密情報の保護ハンドブック~企業価値向上に向けて~平成28年2月経済産業省

http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/handbook/full.pdf

(記事作成者:弁理士 白川 洋一)

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